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フィリップ・ロスの傑作歴史改変小説を豪華キャストでHBOがドラマ化(文:今祥枝)

本日11月3日は2020年アメリカ合衆国大統領選挙。ということで、もしも親ナチスの大統領が誕生していたら?という歴史改変小説を原作にしたドラマ『プロット・アゲンスト・アメリカ』についてご紹介いたします。

※本記事は「海外ドラマSpecial 2020[秋]号」にて本作が特集された際の記事を転載しております。

文:今祥枝

現代米国文学を代表する作家フィリップ・ロスの傑作歴史改変小説を『ゲーム・オブ・スローンズ』のHBOがドラマ化。ウィノラ・ライダー、ジョン・タトゥーロら映画を中心に活躍をする豪華キャストが集結した。

 現代を代表する米国人小説家フィリップ・ロスによる、2004年に出版された歴史改変小説『プロット・アゲンスト・アメリカ もしもアメリカが…』をもとに『ゲーム・オブ・スローンズ』のHBOが映像化。第二次世界大戦中の1940年の大統領選において、親ヒトラー派の英雄的飛行士チャールズ・リンドバーグが勝利を収めるという架空の設定の下、アメリカで暮らすユダヤ人の姿をウィノナ・ライダー、ジョン・タトゥーロら実力派キャストの共演で描く。今年3月16日よりHBOで放送され、批評家に高く評価された秀作シリーズだ。

 ニュージャージー州ニューアークで保険外交員として働くハーマン・レヴィンと、敬虔なユダヤ教徒で愛情深い妻ベスは、サンディとフィリップという幼い2人の息子たちを育てる労働者階級のユダヤ人一家。ナチの脅威が世界に吹き荒れるなか、自由の国アメリカでもユダヤ人に対する差別は目に見えて悪化していた。

 そんな時、反ユダヤ主義者で孤立主義を支持し、ヒトラー親派として知られるリンドバーグが大統領選に名乗りを上げる。現職の第33代大統領フランクリン・D・ルーズベルトのニューディール政策を支持するハーマンは政治に関心が強く、リンドバーグの台頭に危機感を抱く。一方、ベスの姉エヴリン・フィンケルは老いた母親の面倒を見ながら早く結婚したいと切望していたところに、ユダヤ教の聖職者ラビのライオネル・ベンゲルズドーフと出会う。エヴリンにひかれるベンゲルズドーフは、リンドバーグが掲げる反戦メッセージに強く賛同しており、エヴリンもまたポピュリストの1人としてリンドバーグに傾倒していく。

親ナチスの大統領が誕生

 やがてリンドバーグが大統領選に勝利し、親ナチスの大統領が誕生。ハーマンの家で暮らしていた甥のアルヴィンはナチスへの怒りと憎しみをたぎらせ、ある決断をする。状況は悪化し多くのユダヤ人がカナダへと逃れていくが、ハーマンは「アメリカが我が祖国」だとして断固としてこの国で闘う姿勢を貫く。苦悩するレヴィン一家、政府に重用されるベンゲルズドーフとエヴリン、そしてアルヴィンと多くのユダヤ系アメリカ人の運命は、歴史の大きなうねりの中で翻弄されていく。

 製作総指揮・脚本を手がけて番組を成功に導いたのは、テレビ史に残る傑作シリーズ『THE WIRE/ザ・ワイヤー』や1970年代のニューヨークを舞台にした意欲作『DEUCE/ポルノストリート in NY』、秀作映画『HERO 野望の代償』など、HBOのブランド力が光る作品群を手がけてきたエド・バーンズとデヴィッド・サイモン。また原作者ロスは18年に他界したが、生前にサイモンと会い、プロジェクトに参加しており、共同製作総指揮としてクレジットされている。

 前半3話の監督は注目の女性の才能、ミンキー・スピロ、後半3話は『ザ・ホワイトハウス』などのプロデューサーで監督のトーマス・シュラム。重厚感のある映像世界に、人種差別やポピュリズム、ファシズムの台頭、そして分断するアメリカの姿は、驚くほどに現代的なメッセージを伝えて圧巻の仕上がりとなっている。

文:今祥枝

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