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心の扉を開けるドラァグのチカラ/「WE 'RE HERE~クイーンが街にやって来る!~」製作総指揮2人が語る”今この世界が必要とする番組”とは

なんとテレビ番組制作経験ゼロのスティーヴ・ウォーレン、ジョニー・イングラムが製作総指揮となって作り上げたという、HBO®の新たなリアリティーショー「WE'RE HERE~クイーンが街にやって来る!」。

「ドラァグクイーンが小さな田舎町に暮らす地元民に参加を呼びかけ、一夜限りのショーを開催する」という新たな試みは一体どこから生まれたのか。本記事では公私ともにパートナーである製作総指揮2人がじっくりと語ったインタビュー内容をお届け。

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Photo: Stephen Warren & Johnnie Ingram, co-creators of We’re Here

『僕らは感動的な物語を通じて心の扉を開けるドラァグのチカラを強く信じてくれたHBOにとても感謝している』

すべてはある雨の日のメキシコでの休暇からはじまった。長年、ハリウッドで弁護士を務めるスティーヴ・ウォーレンとマーケティングならびに宣伝業界の経歴を持つジョニー・イングラムの二人はTVを観て過ごすしかなかった。小さな画面から流れてくる様々な番組に欠けているものについてじっくりと考えていたテレビ番組の製作経験ゼロのふたりが閃いたのが、このHBOのヒット番組『WE'RE HERE~クイーンが街にやって来る!』だ。

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この台本一切なしで繰り広げられる全6話のシリーズは全米の小さな田舎町に暮らす地元民に参加を呼びかけ、一夜限りのドラァグショーを開催するというもの。毎回、カリスマ的人気を誇るドラァグクイーンであるボブ・ザ・ドラァグ・クイーン、ユリーカ・オハラ、シャンジェラ・ラキファの3人が様々な田舎町を訪れ、彼らの“ドラァグの娘たち”に今夜は今の自分から一歩踏み出し、本当の自分を解放するよう手を差し伸べ、彼らにひらめきを与える様子が描かれていく。

共同クリエーターであるイングラムとウォーレンが毎エピソードで繰り広げられるドラァグたちのパフォーマンスや音楽、番組成功の秘密について語ってくれた。

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今この世界が必要とする番組とは?インタビュー全文

Q:セカンドシーズン決定もおめでとうございます。次のシーズンの見通しについて教えてください。

スティーヴ・ウォーレン(以下:SW):心に響くストーリーを通じて人々の心の扉を開けるドラァグのチカラを強く信じてくれたHBOの決断にとても感謝しているよ。まだ着手し始めたばかりだけど、毎回、小さな街により大きな変化をもたらすことができるのを楽しみにしているよ。

Q:この番組のアイデアがどのように生まれたのが教えてください。

SW:今から約1年半前にジョニーと一緒に休暇でメキシコを訪れていたんだ。雨の日にいつもよりも長い時間TVを観て過ごしていたことがあったんだよ。その時に自分たちが観てみたい番組、そして今この世界が必要とする番組についていろいろ考え始めたんだ。

ジョニーと僕は政治や社会に高い関心を持っていて、“分断”が進む世界の現状を憂いていたんだ。人と人が共感しあったり、つながったりすることがなくなっているよね。そこで、もしドラァグクイーンたちが小さな町を訪れたらどんなことが起こるだろう、と考えたんだ。ドラァグの娘たちのいる家族は果たして彼らを受け入れないのだろうか?とね。

ジョニー・イングラム(以下:JI):あと僕らはドラァグをひとつのアートの形として捉えているんだ。単なるカウンターカルチャーの中で行われていることではなくてね。ドラァグへの関心は日々高まってきていて、昨年にはメットガラでも披露されたんだよ。ようやく然るべき評価を受けるようになってきたんだ。僕らもこのパフォーマンスアートであるドラァグの物語的な側面にスポットライトを当てたかったのさ。

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Q:ボブ・ザ・ドラァグ・クイーン、ユリーカ・オハラ、シャンジェラ・ラキファ・ワドリーの3名をキャスティングした理由を教えてください

SW:直観に導かれたんだ。彼ら以外のドラァグクイーンを探すことさえなかったよ。ドラァグクイーンは3名必要だと確信していたんだ。トップクラスのパフォーマンススキルとユニークさ、そして僕らの個人的な嗜好を満たす人たちがね。そして何より共感能力が高くて、アメリカ中のLGBTコミュニティとつながりを持っている人たちを求めていたんだ。そうでなければこの番組は成り立たない。この3人が一緒になれば完璧だとわかっていたんだ。

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Q:訪れる町選びと3人以外の出演者の人選はどのように行われたのです

JI:小さな町へのアプローチはなかなか興味深いものだったよ。特にまだ誰も知らないTV番組だったからね。そこに暮らす住民への敬意を払うことはもちろん、この番組の意図に合う人たちを秘かにリサーチしたんだ。この番組を通じて何かを学び、何かを得ることができそうな人たちを見つけるためのネットワークを広範囲に張り巡らせたり、独自の人脈を持つ人を頼ったり地元のLGBT組織の手を借りたりしたよ。そして実際に現地を訪れたら速やかに地元の人たちと親しくなって、ドラァグショーに出演することで恩恵を受けそうな人たちを探したんだ。

僕らが訪れる町自体が、ある種の特徴や問題を抱えた場所でもあったんだ。例えば第1話に登場するゲティスバーグには南北分断の歴史があった。ファーミントンという町は自死(自殺)者率が高いところだ。全米中の小さな町がそれぞれに抱えている物事があり、僕らはそれをドラァグパフォーマンスという独自の機会を通じて語ってもらうんだよ。ドラァグショーが街の人々の心を開く癒しのプロセスになるということね。

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Q:お二人ともすべてのパフォーマンスの舞台や現場に立ち会ったのですが?

SW:ジョニーは毎日現場にいたよ。僕はほとんどの現場にはいたね。僕らの役目は製作総指揮とクリエーターだけじゃなく、みんなを勇気づけるリーダーでもあったよ。みんなが大好きだから全員がスポットライトを浴びていること、ちゃんと自分たちの才能を発揮できているかどうかを見守っていたんだ。ドラァグパフォーマーたちは僕らを母親と父親のように受け止めていたから、彼らが自分たちの人生にとって大事な経験とパフォーマンスができるよう全力を尽くしたよ。

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Photo: Johnnie Ingram & Stephen Warren

Q:音楽もこの番組の重要な役割を果たしていましたね。音楽のチョイスもあなたたちの役割だったのですか? 個人的に音楽が気に入っているエピソードはありましたか?

SW:一言でいえば、そうだよ!だね。すべてジョニーのセレクトさ!

JI:僕はポップカルチャーとポップ音楽が大好きなんだ。それに日々、あらゆるドラァグやトランスアーティストたちが目の前にいたしね。彼らのパーティもたくさん開かれているし、これまで知らなかったアーティストたちが曲を披露してくれることもあったよ。あと番組に出演するドラァグたちがパフォーマンスする予定の曲目にも関わっていたよ。

僕らは数多くのアーティストたちをフィーチャーしたいと考えていたんだ。特にシーア・ダイアモンドという黒人トランスジェンダーアーティストはずっと前からチェックしていてね。GLAADや友人で有名ソングライターのジャスティン・トランターを通じて彼女とタッグを組んで第1話を手掛けたんだ。彼女も気に入ってくれたから、よかったらこの番組のテーマ曲を作ってみないかと打診ししてね。そこで完成したのが“I Am America”というわけさ。この番組のテーマ曲で最初の2話のクレジット部分でも流れているよ。

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Q:特に印象に残っているパフォーマンスはありますか? また、『これこそ僕らがこのシリーズを構想したときに求めていたものだ』と実感するようなパフォーマンスはありましたか?

JI:それは我が子たちの中からお気に入りを選ぶようなものだね。でも、ハンターがリハーサルをしている姿を見た時には、まさにクイーンが誕生する瞬間を目撃しているように感じたよ。あのエピソードにタイトルを付けるとしたら、まさに『クイーン誕生』だね。ハンターは大きな人気を集めるドラァグクイーンになるべきだ。

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あとはアイダホ州のツイン・フォールズに暮らすブランドンは自身のトランスジェンダーに苦しんでいた。例えば州法500条ではスクールスポーツにおいてトランスジェンダーの女性がシスジェンダーの女性たちと競うことを禁じていたからね。新しい法案である州法509条は出生証明書の性別変更を禁止している。アイダホはクィアたちにとって非常に難しい場所なんだ。

だから州政府が承認したこの法案に直面する中で今回の機会はツイン・フォールズの人々以外にもトランスコミュニティさらにはアイダホ州民にとって非常に有意義だったんだ。みんながあの瞬間のためにひとつになれたのはとても特別なことだったね。とりわけあのパフォーマンスによってこの番組のプロダクションバリュー、エディター、デザイナー、そして関係者すべてがいかに重要かを痛感したんだ、あのパフォーマンスの撮影にはすごい気合が満ちていたからね。ブランドンが『これが私よ』と言った時の表情はとても美しくカメラが捉えていたよ。彼らの感情、愛情、パフォーマンスはとても特別で、全員があの瞬間のために力を合わせることができたんだ。

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